前回に引き続き中国紀行シリーズ第二弾ということで今回は主に経済について。
はじめに言っておくが僕は経済学の先攻でもなければその道に詳しい人でもないので、あくまでも素人が実際に体験して得られた感想の一部と捉えていただきたい。
そして今回はGDPなど統計的な話は横に置いておき、あくまで僕個人の体験としての情報を共有しようと思う。
また、残念なことに、あまり写真を撮る余裕がなく今回も文字が中心になってしまうのがなんとも心苦しい。
これも以前訪れた時との違いを考えながら書いていきたいと思う。
車と交通事情
まず、一番はじめに気づいたことは車に関することだ。
以前は街中をそれなりの数のバイクと日本車が走っていた記憶があるのだが、今回はバイクをほとんどと言っていいほど見かけなかった。
そしてそれと同時に時速制限110キロの高速道路が整備されており、無料で乗り降りできた。車の数も圧倒的で、きっと日本のどこに行ってもこんなに車が日常的に走っている場所はないのかもしれないと思った。
それほどに圧倒的人口を感じることができ、数字上では日本の13倍ほどなのも納得だった。
東南アジアでは多くの国でまだバイクが移動の中心にあるが、これから経済発展していけば徐々に車にシフトしていくのだろう。
あとは何と言ってもその車種だろう。
道路をずっと眺めていた感じ、日本車はそれなりに多い。中国から見れば日本車は外車であり、国産のものよりは一回り高価らしい。
それと同時に韓国車やアメ車もちょくちょく目に入ったが、ベンツやBMW、Audi、レクサスのような高級車が目立つようになり、中にはポルシェやフェラーリ、ロールスロイスなんかも見かけた。
そこは上海や北京と言った都市ではなく、大連市という場所でだ。
現地の人の話によれば北京や上海に行けばもっと高級外車の割合はすごいことになっているそうだ。
それだけ中国では経済的なゆとりができて、車も選べるような層が増えていると考えられる。圧倒的な人口を誇る中国、車産業も当然ながらその中心にある一大産業だ。
電化製品の変化
そして次に感じた事が電化製品についてだ。
これまでは東芝やSHARP、日立など日本メーカーの製品がかなり目立っていたが、今回はほとんど見かける事がなかった。数年前に行った時には至る所で日本製品が使われていたが、今ではほとんど見かけなくなってしまった。
目立っていたのは空港のトイレで見かけたTOTOの便器くらいだ。
これについても話を聞いてみると、中国の自国製品が躍進した結果、機能面でも価格面でも日本製品を使うメリットがなくなってしまったそうだ。機能的にはほぼ変わらず値段が安いのなら自国の製品を買うに決まっている。
「爆買い中国人」というワードが話題になっていた時期もあったが、今日本に訪れる中国人は家電ではなく、薬や化粧品などを買うことがほとんどのようである。
これは日本国内の電機メーカーの不調を考慮すれば当然の流れなのかもしれない。
何とも悲しいことだがこれが現実のようだ。
金融機関とキャッシュレス
そして最後に注目したのは金融機関の増加だ。
街の至る所に様々な金融機関が立ち並んでおり、これも今までとは異なる風景だ。つまり中国の中心地でないところでも経済活動が活発になりお金の流動性が上がっているのだろう。銀行をはじめ、損保、証券、保険など立ち並んでいた。
そして中国といえばキャッシュレスだ。
現金を使う人なんてほとんどおらず、大半の決済をスマホで行なっていた。
驚いたのがリヤカーなどの移動販売や露天で販売している人たちも皆キャッシュレスでの支払いを受け付けており、非常に便利でスピーディーであると感じた。キャッシュレスの技術力と同時にそれを社会的に浸透させることにも成功しているように見えた。
日本ではいまいちキャッシュレスが浸透しないが、個人的には一刻も早く普及させてほしいと思っている。
日本に来た中国人たちが、「日本は遅れている」と思ってしまうのも仕方のないことだと感じざるを得なかった。もちろんキャッシュレスには問題点や課題も多いが、日本の決済システムは保守的すぎると感じてしまう。
中国に行って気づいた日本の良いところは?
ここまでの話をまとめると、どうやら中国はここ数年で目を見張るような成長を遂げており、日本はこのままだと全てに置いて中国の後を追いかけることになってしまいそうだ。いや、もう現実にそうなっているのかもしれない。
ただ、今回の旅を通じて改めて日本の良さも感じられた。
それは「文明の発達」だ。
中国では歩行者の信号無視は当たり前、どんなに車が走っていようがまともに信号を待っている人なんて僕しかいなかった。街中もゴミだらけ。
夜になるとこんな光景はよく見かける。これは飲食店がその日に溜まったゴミを外に捨てて業者が回収しに来るのを待っているのだ。
そして車同士もウインカーも出さずに車線変更を繰り返し、クラクションなんて毎秒のごとく鳴らされている。少しの隙間があれば前に割って入られる。タクシーに乗っていた僕は恐怖で飛び降りるところだった。
この運ちゃんの顔はいまだに忘れない、とんでもない走り屋だ。ワイルドスピードに出演していたのだろうか。
街の写真など撮り忘れていたのにあまりにも衝撃的だったため思わず撮ってしまった。
この人が特別なのではなく、街を走るほとんどのドライバーがそうであり、日本では考えられない光景だった。
人々が譲り合うとかがなく、互いに敬意が欠如した空間であると僕は感じた。
みな自分、自分と。それが中国の経済発展の要因になっているのかもしれないが、僕はそんな空間は嫌だとはっきりと主張する事ができる。
日本のような規律正しい空間が息苦しいという人もいるが、一旦日本を離れてみるといかに日本が心地良いかがわかる。
ただ、現地の人もそれを良しとしている訳ではないみたいだ。
どんなに経済が発展しようが、暮らしが豊かになろうが本当の意味で日本や欧米諸国には敵わないと。
中国も経済発展が落ち着いていけば、少しずつ「文明」的な発展も遂げる事ができるのだろうか。それともこれは「国民性」であり、もう変わることはないのか。
ただ僕は一応真面目に勉強をしてきた身として、漢文の世界ではあんなに立派な礼節や仁義を説いていた国がこうなってしまっているのはなんとも残念なことであり、個人的には立派な中国社会を取り戻してほしいと思う。